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在宅勤務が続くから。“眠る・働く”を両立できる間取りとは?

在宅勤務が続くから。“眠る・働く”を両立できる間取りとは?

― 生活の場であり、働く場でもある——家という空間をどう整える? ―

新型コロナウイルスの流行をきっかけに定着し、今や働き方のひとつとして一般化した在宅勤務。

かつては一時的な対応と考えられていた「家で働く」というスタイルも、今では多くの企業で当たり前の選択肢となり、ハイブリッド勤務やフルリモートを継続している家庭も少なくありません。

けれど、「家を職場にする」ことは、単にノートパソコンとWi-Fiがあれば成立する――というほど簡単なことではない、という実感を持っている方も多いのではないでしょうか。

特に子育て世代の家庭では、朝から晩まで“生活の音”が絶えません。リビングで遊ぶ子どもの声、炊事や洗濯の家事音、学校や保育園の送り迎え。そんな日常のなかで集中力を保ち、時間を区切って仕事に向き合うのは、想像以上に難しいことです。

「オンライン会議中に後ろを子どもが走り回っていた…」

「“あとでね”が口ぐせになって、子どもに寂しい思いをさせてしまったかも…」

「子どもが寝た後にようやく本格的に作業時間が取れる」

そんな“あるある”に、心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とはいえ、日々の生活と仕事のバランスを取るために、いまさらオフィス勤務に戻るのも現実的ではない…

――そんなジレンマを抱えている方こそ、「住まいのあり方」に目を向けてみませんか?

在宅勤務が日常になった今こそ、「暮らす」「働く」「育てる」すべてが無理なく調和する家づくりが求められています。

このコラムでは、子育て世代が直面しがちな“在宅勤務あるある”を出発点に、「眠る・働く」を両立できる間取りや動線の工夫について、実例やアイデアを交えながら、ご紹介していきます。

「どこで働く?」を決める——仕事スペースは“個室”が正解?

子育て家庭に必要なのは「閉じる工夫」

在宅勤務用のワークスペースといえば「個室」が理想、と思われがちですが、実際のところ個室を確保できないご家庭も多いものです。寝室の一角やリビングの片隅をワークスペースにしている方も少なくありません。

とはいえ、重要な会議中にお子さんの「ママー!これ見てー!」が入ってきたり、食事の支度の音が入り込んだりするのは困りもの。そんな時に役立つのが、「物理的に閉じる」仕掛けです。

たとえば――

  • 既存の空間に簡易パーテーションを設ける
  • 折れ戸やカーテンを使って視覚的に区切る
  • 本棚や家具を使って半個室的に仕切る

など、ちょっとした工夫で“個室っぽさ”を演出することができます。

家全体の動線も見直すチャンス

また、仕事に集中したい時間帯に、子どもが何度も背後を通るような間取りだと、どうしても落ち着きません。仕事部屋をリビングの奥に配置するのではなく、玄関からの動線と交わらない位置にすることで、お互いのストレスがぐっと減ります。
たとえば玄関→リビング→ワークスペースという直線的な動線ではなく、

玄関→廊下→子ども部屋/洗面室 → ぐるりと回ってLDKとワークスペース

というように、「回遊動線」「二重動線」を意識した設計が有効です

“眠る場所”との共存――ワークスペースが寝室にあるなら

一日が始まり、一日が終わる空間として

ワークスペースを寝室内に設けている家庭も多いと思います。特にマンションやコンパクトな戸建て住宅では、「部屋数が足りない」問題に直面するため、このような選択になることも多いでしょう。

そんなときに気をつけたいのが、オンとオフの切り替え

  • 就寝前にパソコンの電源を完全にオフにする
  • ワークスペースにカバーや布をかける
  • 就寝時には間接照明に切り替える

といった小さな工夫が、脳をしっかりと“休むモード”に切り替えてくれます。

シェア空間でも“エリア分け”がカギ

夫婦共に在宅勤務というご家庭では、寝室を2人でシェアするケースもあります。机を並べて「夫ゾーン」「妻ゾーン」を決めるのも一つの方法ですが、目線が交差しない配置にするだけでも集中度は変わります。

視線の交差や生活リズムの違いによるストレスは、机の向き、座る位置、照明の当て方などを工夫することで緩和できます。

子どもとの距離感をどう保つ?

そばにいながら、干渉しすぎない

子育て中の在宅勤務でよく聞く悩みが、「子どもが常に話しかけてくる」というもの。

「ママ今お仕事中だよ」と何度伝えても、“そばにいる=話しかけていい”と子どもは思いがち。そこで効果的なのが、時間と空間の“見える化”です。

  • 「今から〇分間はおしごとの時間」とタイマーで見せる
  • ワークスペースに“お仕事中”の札を掲示する
  • 子ども専用の“おしごと机”を用意して、並んで座る

など、親子で“集中タイム”を共有するスタイルがうまくいくこともあります。

距離を取るより「共存」を意識

「子どもがいると仕事にならないから、できるだけ離れた部屋に」と思う方もいますが、完全に遮断してしまうと子どもが不安になったり、逆にトラブルが起きやすくなることも。

たとえば、

  • キッチン横の“ヌック”を子どもの遊び場にする
  • ガラス扉越しに様子が見える場所に仕事場を置く
  • 子ども部屋と仕事部屋の間に廊下や収納を挟む

など、「視線は通るけど、音は気にならない」「気配は感じるけど、干渉しない」距離感の設計が、子育て世代の在宅勤務には向いています。

音・光・空気感の工夫も“間取りの一部”

防音性能の見直し

在宅勤務では、家の中の「音問題」が意外とストレスになります。たとえば、

  • 階段を上り下りする足音
  • 洗濯機や食洗機の稼働音
  • 子どもの騒ぎ声やペットの鳴き声

これらを緩和するには、防音ドアの設置吸音性のある壁材・カーテンが有効です。

光の入り方で集中力が変わる

自然光の入り方、照明の位置や明るさも、集中力に大きく影響します。特にオンライン会議が多い方は、「顔に光が当たる方向」にデスクを置くのがおすすめです。

  • 午後になると西日が強くなる部屋には遮光ロールスクリーン
  • リモート会議が多い人はリングライトやデスクライト併用

ちょっとした光の演出で、表情も明るく見え、印象も変わります。

“家全体をワークプレイス”として見る視点

書斎だけが“仕事場”じゃない

仕事の性質によっては、必ずしもデスクに長時間座っている必要はない場合もあります。

  • 午前中はリビングの窓辺で企画書を作成
  • 午後はダイニングテーブルで資料整理
  • 夜は寝室のデスクで集中作業

など、「場所を変えることで集中力を回復する」働き方も可能です。

そのためには、

  • コンセント位置の見直し
  • Wi-Fiルーターの設置場所を最適化
  • モバイルワゴンやワークトレイを導入

といった工夫があると、家中どこでも快適に働けるようになります。

新築・リノベを考えるなら、どんな間取りがいい?

子育て・在宅勤務・家事の“トライアングル”配置

もしこれから家を建てたり、リノベーションを検討中なら、ぜひおすすめしたいのが「在宅勤務を前提とした間取り設計」。

ポイントは、

  • 子どもの生活空間(リビング・子ども部屋)
  • 親の仕事空間(書斎・ワークヌック)
  • 家事空間(キッチン・ランドリー)

この3つを効率よく配置し、「移動距離を最短に」「干渉度を最小に」すること。

また、以下のようなプランも人気です。

  • リビング横に設けた“半個室ヌック”
  • 屋根裏部屋やスキップフロアを活かした仕事場
  • デッキテラスとつながるアウトドアワークスペース

暮らしの延長に“働く”があるような自然な設計が、今の時代にフィットします。

まとめ:暮らしと仕事が共存する家で、家族みんなが心地よく

「家の中で働く」というスタイルは、かつては特別なことのように感じられましたが、今ではすっかり“日常”になりました。特に子育て世代のご家庭にとっては、家族の時間と仕事の時間をいかにバランスよく共存させるかが、暮らしの質を左右します。

在宅勤務だからこそ実現できる、子どもとのゆるやかな時間共有や、家事の合間にちょっと手を動かせる働き方。それらを支えるのは、無理なく機能する「間取り」と「動線」だと思います。

今の住まいでちょっとした模様替えから始めるのも、新築やリフォームで理想を形にしていくのも、どちらでも構いません。

ぜひご自身の暮らし方に合った“ワーク&ライフの重なり方”を見つけてみてくださいね。

この記事を書いた人

平井 祐佳里
平井 祐佳里 宅地建物取引士
大学在学中より不動産の道に進み、建売会社にて用地仕入れを担当。結婚・育児を経験した後にハウスメーカーの不動産課に勤務し家族を持つ人々のニーズを深く理解し、顧客に寄り添った不動産サービスを提供。本格的な宅地開発を学ぶため、宅地開発専門の不動産会社に従事後、地域に根付いた土地活用の提案をするため総合不動産会社にて現在勤務中。

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平井 祐佳里
平井 祐佳里 宅地建物取引士
大学在学中より不動産の道に進み、建売会社にて用地仕入れを担当。結婚・育児を経験した後にハウスメーカーの不動産課に勤務し家族を持つ人々のニーズを深く理解し、顧客に寄り添った不動産サービスを提供。本格的な宅地開発を学ぶため、宅地開発専門の不動産会社に従事後、地域に根付いた土地活用の提案をするため総合不動産会社にて現在勤務中。