家づくりの打ち合わせでは、聞き慣れない単語がたくさん出てきて戸惑うことも多いものです。注文住宅の建築は打ち合わせしなければならない項目が山のようにあるだけに、基本的な用語をあらかじめ把握しておけばスムーズに話が進みます。
知っておくと便利な家づくり用語を紹介するシリーズ第2弾のテーマは「屋根」。さまざまな種類がありますが、主に戸建住宅に採用されることが多い屋根の名称や特徴をご紹介します。
形状別・屋根の用語
切妻屋根(きりづまやね)
屋根面がもっとも高い位置で交差する大棟(おおむね)部分から左右対称に屋根面が流れる形状の屋根です。開いた本を逆さまに伏せたように見える屋根で、傾斜面が2面とシンプルなので施工費を抑えやすいです。
寄棟屋根(よせむねやね)
大棟からの傾斜面が4面ある屋根です。切妻屋根の妻側(傾斜面がない方向)にも傾斜面があると考えると分かりやすいでしょう。傾斜面が多い分切妻屋根よりも外壁面が少ないので耐風性が高く、雨を4面に流せるのが特徴です。
入母屋屋根(いりもややね)
寄棟屋根の上に切妻屋根を乗せた形状の屋根を指します。やや複雑な形状で、格式が高い和風住宅に採用されやすいです。屋根が重なってできたスペースに窓を設置できるため通気性が良いという特徴があります。
陸屋根(りくやね)
屋根全体が平らな形状の屋根です。屋根部分を屋上スペースとして使用できます。傾斜面がないため排水性に注意する必要はありますが、スタイリッシュでモダンな雰囲気になるため個性的な外観にしたい場合に採用されることが多いです。
片流れ屋根(かたながれやね)
屋根全体が一方向に傾斜している屋根を指します。基本的に左右対称となる他の形状の屋根と違い非対称なデザインになることから、シャープな印象を与えます。屋根面積が少ないので施工費が抑えやすく、住宅密集地でも問題なく設計できる省スペース性が特徴です。
方形屋根(ほうぎょうやね)
屋根の頂点から四方向に同じ面積の傾斜面が同じ角度で流れる屋根です。雨や雪を4方向に流せるため構造的に頑丈で、すべての外壁の上に軒があるため外壁が傷みにくいという特徴があります。
差しかけ屋根(さしかけやね)
段違いの形状になっている屋根です。2階部分が1階部分の一部しかない住宅の場合に採用されます。高い屋根と低い屋根があるため立体的な外観に仕上がり、2つの屋根の間にある外壁面に窓を設けると室内に自然光を取り入れやすいのが特徴です。
重視したいポイント別おすすめの屋根
屋根の形状は間取りとも関係するため、間取りが決まってから検討していく流れが一般的です。外観のイメージが気になりがちですが、屋根の持つ「家全体を守る」という役割も意識しながら検討していくとよいでしょう。
屋根についてこだわりたい、重視したいポイント別におすすめの屋根をご紹介します。
雨漏りしにくい形状の屋根
基本的に構造がシンプルな屋根ほど雨漏りがしにくいと言えます。傾斜面が2面の切妻屋根や、傾斜面が1面の片流れ屋根は比較的雨漏りしにくい屋根です。続いて傾斜面が4面ある寄棟屋根や方形屋根が雨漏りのリスクが低い屋根となります。
屋根面が水平で排水勾配がゆるやかな陸屋根は雨漏りが発生しやすいため、より高度な防水工事や定期的なメンテナンスが不可欠です。
太陽光発電システムを設置しやすい形状の屋根
太陽光を活用して電気をつくる太陽光発電システムの効果は、大きな屋根面であるほど有効です。そのため、傾斜面が広い片流れ屋根は有利と言えます。ただし1面しかない傾斜面が日照量の多い方角に向いていなければいけません。切妻屋根も、屋根の傾斜面が向く方角を事前によく確認しておけば比較的高い効果を得られるでしょう。
陸屋根は傾斜がないため、屋上スペース内で太陽光パネルの向きや角度を自由に調節できる点がメリットです。ただし太陽光パネルを屋上面に設置するために架台が必要なため、台風などの強風時の対策をしっかりしておくことが大切です。
建築費を抑えやすい形状の屋根
施工する屋根本体と外壁の面積から考えると、建築費を抑えやすいのは切妻屋根です。屋根本体だけで言えば、傾斜面が1面で雨樋などの部材が少なくて済む片流れ屋根がもっとも低コストなのですが、傾斜面が少ない分外壁の施工面が増えるためトータルの費用で見ると切妻屋根よりコストがかかるでしょう。
外壁の傷みが少ない形状の屋根
屋根の軒がある面が多いほど外壁に直接当たる雨や雪、紫外線などをカットできます。寄棟屋根や方形屋根は4面あるため、軒の出が浅めでも外壁は傷みにくいと言えるでしょう。
切妻屋根や片流れ屋根は、傾斜面がない方向の外壁が風雨や紫外線にさらされ傷みやすくなります。どの外壁面にも軒がない陸屋根は、外壁の傷みが進みやすくなる可能性が高いです。
まとめ
屋根は家の外観イメージに影響を与えるだけでなく、形状によって建築費やメンテナンスの頻度も変わります。建築コストや入居後にかかるコストも想定し、希望の外観イメージとのバランスを取りながらどんな屋根にするかを決めていきたいですね。
打ち合わせの際に屋根に関係する用語はいろいろ出てきますが、まずは基本知識として今回ご紹介した内容を押さえておきましょう!