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住まいの寿命を延ばす家のメンテナンス【基礎知識と重要ポイント】

住まいの寿命を延ばす家のメンテナンス【基礎知識と重要ポイント】

家は一生に一度の大きな買い物とよく言われますが、実際には購入して終わりではなく、年月が経つごとに様々なメンテナンスが必要となります。「高価な買い物だから、頑丈にできているし、少しくらい手入れをしなくても大丈夫だろう」と油断していると、気づいたときには家が傷んでいたり、資産価値が下がってしまったりすることもあります。マイホームのメンテナンスは、住みやすさを保ち、資産価値を維持するために欠かせない作業です。

今回の記事では、一戸建ての購入を検討している方に向けて、メンテナンスの基礎知識と重要なポイントをご紹介します。定期的なメンテナンスの重要性を理解し、適切な手入れを行うことで、住まいの寿命を延ばし、安心して長く住み続けることができるでしょう。

メンテナンスの基礎知識

「木造住宅の寿命は20年~30年程度」と聞くことがありますが、これは木造住宅の法律で定められた減価償却期間の耐用年数が22年であることに由来します。しかし、実際には築年数が20年を超える木造住宅も多く存在し、適切なメンテナンスを行うことで快適に暮らし続けることが可能です。

住宅には時間の経過とともに価値が失われるため、減価償却資産として法定耐用年数が定められています。この法定耐用年数は、建物の構造や用途に応じて新築からの年数が決められており、これに基づいて固定資産税の課税額も算定されます。

日本は地震大国であるため、地震に強い住宅づくりや環境への配慮が求められています。これらを踏まえて、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅は「長期優良住宅」として国の認定を受けることができます。長期優良住宅は、「100年暮らせる家」を目指した取り組みとして普及が進められており、この制度を利用することで減税や住宅ローン金利の優遇などのメリットがあります。

近年、政府も「長持ちする高性能な家を建て、メンテナンスしながら長く使う」ことを推奨しています。一戸建て住宅は分譲マンションとは異なり、管理費や修繕積立金が徴収されないため、家主が計画的にお金を貯めてメンテナンスを行う必要があります。そのため、戸建て住宅を所有する場合、住宅メンテナンスの知識は不可欠です。

日本の気候は雨が多く湿度も高いため、湿気によって住宅の基礎に使われている木材が劣化しやすいです。家を支える柱や梁が腐ると耐震性や安全性に影響を及ぼします。一度大きく劣化したり破損したりした建材は、修理しても元の強度には戻らないため、大きな問題が発生する前に早めの対処が重要です。小さな問題を見過ごすと大きなトラブルに発展しやすく、連鎖的に他の部分も壊れていく可能性があるため、定期的なメンテナンスは欠かせません。

早期に問題を発見すれば修繕費も抑えられます。住宅のメンテナンスは建物の健全性をチェックするだけでなく、生活の中で感じる不便を解消する良い機会でもあります。たとえば、調子の悪いガスコンロをIHクッキングヒーターに変えることで火事のリスクを減らし、料理も楽になります。どれだけ購入前に慎重に検討しても、実際に住んでみると不満点が出てくるものです。リフォームを機に使いづらい設備を交換したり、将来を見据えたバリアフリー対応にしたりすることで、マイホームをさらに快適な空間にすることができます。

メンテナンスの定義

新築住宅には、品確法により10年間の保証が義務付けられています。この保証は、柱や梁、基礎、耐震壁などの基本構造部分に適用され、万が一欠陥が見つかった場合には無償で修繕や補修が行われます。基本構造部分の10年保証は法律で義務付けられていますが、それ以外にもハウスメーカーが独自に提供するアフターメンテナンスサービスが存在します。

ここで「メンテナンス」と「保証」の違いについて理解しておくことが重要です。メンテナンスは住宅の状態を維持するための定期的な点検や手入れを指し、保証は特定の期間内に発生した欠陥に対する修繕を意味します。これらを包括して「アフターメンテナンス」や「アフターサービス」と呼ぶことがあります。定期的な点検は、引き渡し後の半年後、1年後、2年後などに設定されるのが一般的です。

アフターメンテナンスには、定期的な点検と保証が含まれます。定期的な点検を通じて、住宅の問題を早期に発見し、必要な修繕を行うことで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。また、保証期間内であれば、欠陥が見つかった際に無償で修繕が受けられるため、安心して住み続けることができるのです。

住宅のメンテナンスは、長期的に住まいの状態を良好に保つために不可欠な作業です。適切なメンテナンスを行うことで、住宅の寿命を延ばし、住みやすさを維持することができます。住宅の購入後は、定期的な点検と必要な修繕を怠らずに行い、長く快適に暮らせる住まいを維持しましょう。

主なメンテナンス箇所

戸建て住宅で特にメンテナンスが必要な箇所を5つご紹介します。

  • 外壁
  • 屋根
  • クロス
  • 水回り

それぞれのメンテナンス内容について、詳しく見ていきましょう。

外壁

外壁は、時間の経過とともにひび割れなどの劣化が見られることが多いため、定期的なメンテナンスが必要です。具体的には、塗り替えやシーリングの打ち替えを行うことで、外壁の寿命を延ばすことができます。外壁の仕上げ方によって、メンテナンスに適した時期は異なりますので、仕上げ方に応じた適切な時期を把握しておきましょう。

屋根

屋根は使用されている素材によって、メンテナンスの方法や時期が異なります。例えば、スレート屋根やトタン屋根の場合は、定期的な塗り替えや交換が必要です。また、瓦屋根の場合でも、割れやズレがないかを定期的に点検し、必要に応じて修繕を行いましょう。

クロス

クロス(壁紙)は、年数が経つと剥がれや浮きが生じることがあります。特に、室内の位置によっては結露などの影響を受けやすいため、傷みやすい部分もあります。剥がれや浮きが見られたら、早めに張り替えを行いましょう。

水回り

浴室、トイレ、キッチンなどの水回りは、使用頻度が高いため劣化しやすい箇所です。さびや腐食が進行すると水漏れを引き起こす可能性があるため、定期的な点検と交換が重要です。特に、シンクや排水管の状態には注意し、トラブルが起きる前にメンテナンスを行いましょう。

床は一見きれいに見えても、床下の見えない部分で劣化が進んでいる場合があります。特に湿気の多い日本では、シロアリ被害を防ぐためにも、定期的に床下の点検を行うことが重要です。必要に応じて、床材の交換や補修を行いましょう。

以上のように、各部位のメンテナンスを定期的に行うことで、住宅の寿命を延ばし、快適な住環境を維持することができます。適切なメンテナンスを心がけ、長く安心して住み続けられる住まいを保ちましょう。

メンテナンスの重要性

戸建て住宅のメンテナンスを定期的に行うことで、家の寿命は大きく変わります。メンテナンスを怠ると経年劣化によって寿命が短くなるため、安全に長く住み続けるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。

アフターメンテナンスには、次の3つの重要な役割があります。

1. 住まいの耐久性・安全性・快適性を維持
日々、雨風や紫外線にさらされる住まいは、経年とともに防水性・防湿性・耐久性が劣化していきます。劣化が進行するとカビや雨漏りが発生し、家の構造部分にまでダメージが広がることがあります。適切なメンテナンスは、住まいの耐久性と安全性、快適性を維持するために不可欠です。

2. 資産価値を維持
経年劣化によって損なわれるのは、耐久性・安全性・快適性だけではありません。これらが損なわれた住まいは、資産価値の低下も早まります。建物の資産価値は経年によって低下するものですが、定期的なメンテナンスを行うことでその低下のスピードを緩やかにすることができます。

3. 劣化・不具合を防ぐ
目に見える劣化や損傷が現れてから対処するのでは、修繕費が高額になることが多いです。定期的な点検を行うことで、劣化や不具合を早期に発見できるのもアフターメンテナンスの大きなメリットです。結果的に、家の維持コストを抑えることができます。

定期的なメンテナンスを実施することで、住まいの寿命を延ばし、安心して長く住むことができます。大切な家を守るために、適切なメンテナンスを心がけましょう。

築年数ごとのメンテナンスポイント

現在の新築住宅と数十年前に新築した住宅では、住宅技術の進歩により寿命が大きく異なります。長期優良住宅の認定を受けていない住宅でも、多くの新しい技術が取り入れられ、住宅の寿命は延びています。しかし、新しい住宅も築年数の古い住宅も、定期的なメンテナンスを行うことで寿命をさらに延ばすことが可能です。

住宅を長持ちさせるためには、劣化を防ぐメンテナンスが不可欠です。特に築年数が古い住宅でも、適切なメンテナンスを行うことで劣化を防止し、長く住み続けることができます。

マンションなどの集合住宅では、外壁などの共用部分のメンテナンスは管理組合が行いますが、一戸建て住宅の場合は、オーナー自身が行わなければなりません。修繕のタイミングに合わせて、修繕費の積み立ても必要です。メンテナンス費用がかかることを念頭に置き、計画的に準備しましょう。

以下に、築年数ごとのメンテナンスポイントを紹介します。

5年から10年目のメンテナンス

築5年の住宅はまだまだ見た目もきれいですが、このタイミングで傷や痛みがないかをチェックしておくことが重要です。外回りの点検や住宅の電気的設備に異常がないかを確認し、異常が見つかった場合は早めに対処することで、10年目の点検にかかる費用も抑えられるでしょう。防水塗料やシロアリ対策用の塗料は、築5年から10年で効果が薄れてくるため、この時期に特に注意が必要です。

家全体が新しくても、基礎の木材が腐食したりシロアリに食害されたりすると、耐久性が低下して危険です。特に湿気対策と防蟻処理に力を入れることが大切です。内装に関しては、築10年程度では大きな問題は少ないですが、普段からの掃除を心がけることで室内のクロスをきれいに保てます。

クロスの張り替え

室内のクロスは、新築から5年から10年が経つと剥がれや汚れが目立つことがあります。この時期に張り替えを行いましょう。クロスの色や柄を変えて、新しい雰囲気の空間にするのもおすすめです。

屋根の塗装

屋根のメンテナンス時期は素材によって異なりますが、劣化の状態に応じて7〜15年の間に塗り替えを行うのが良いでしょう。劣化したまま放置すると雨漏りの原因になりかねないので、定期的なチェックが必要です。

シーリングの打ち替え

外壁のシーリングは、劣化の程度を見ながら5年から10年の間に打ち替えを行いましょう。新築から5年が過ぎたら、外壁のシーリングの状態をこまめにチェックし、必要なメンテナンス時期を見逃さないことが大切です。

10年から15年目のメンテナンス

築10年も経過すると、経年劣化による交換が必要な箇所や一部リフォームを検討する時期となります。この時期にメンテナンスを先延ばしにしてしまうと、劣化が進み修復に余計な費用がかかることもあります。しっかりと点検を行い、修復が必要な箇所を確認しましょう。

特に、築10年を過ぎると外壁の塗装が寿命を迎えるため、外部の手直しが必要です。外壁や屋根、バルコニーに使われる塗料は、紫外線や水から建材を守る重要な役割を果たしています。もし壁に触れて白い粉が指につくようであれば、塗料の保護機能が失われている証拠です。ひび割れや雨漏りの原因となるため、外壁塗装は欠かせません。

外壁の塗装

外壁のメンテナンス時期は素材によって異なりますが、10年から15年を目安に塗装を行いましょう。ひび割れや色褪せが見られる場合、建物本体の劣化に繋がるため、外壁の状態をよく観察しながら適切なメンテナンス時期を決めることが大切です。

水回り設備の交換

浴室やトイレ、キッチンなどの水回り設備は、新築から10年を過ぎると劣化による故障が増えてきます。使用頻度が高い設備であるため、状況に応じて早めに交換を検討しましょう。水回り設備の交換は費用がかかることも多いので、事前にメンテナンス費用を確保しておくことが重要です。

畳の表替え

和室がある住宅では、10年から15年を目安に畳の表替えを行う必要があります。畳は日焼けにより変色したり、肌触りが悪くなったりします。表替えを行うことで、美しい和室を取り戻し、快適な空間を維持しましょう。

給湯器交換

給湯器は、10年から15年の間に劣化により不具合が生じるケースが多くなります。給湯器が故障するとお湯が使えなくなってしまうため、早めに交換を検討しましょう。事前にメンテナンス時期の目安を把握し、備えておくことが大切です。

20年以上のメンテナンス

築20年から30年になると、住宅内部の水回りのリフォームを考える時期になります。キッチンや浴室のリフォームには100万円単位の費用がかかることが多く、トイレや洗面所の交換でも数十万円が必要になることがあります。この頃には、内部の壁紙やフローリング、床材などの痛みも目立ってくるでしょう。

築20年以上の住宅は、現在の住宅と比べて断熱性が低い場合が多いです。高断熱の断熱リフォームを検討するのも良いでしょう。断熱リフォーム工事にはさまざまな方法がありますが、手軽にできるものもあります。例えば、窓を二重にする、一部の部屋だけを対応するなど、気になる部分があればリフォーム業者に相談してみましょう。

また、10年目で点検やメンテナンスを行った箇所も再度点検が必要です。外装の塗り替えやサイディング、屋根の張り替えなどは、築20年から30年になると注意深く点検を行い、早めに交換や修理をすることが大切です。

メンテナンスだけでなく、バリアフリー化や水回りの移設・増設といった、老後の生活に備えるリフォームもこの時期に検討を始めると良いでしょう。

雨どいの交換

雨どいは、雨や風の影響を受けて経年劣化が進むため、15年を目安に点検し、必要に応じて交換を行いましょう。

床の張り替え(フローリング)

フローリングは、15年から20年を目安に張り替えを検討しましょう。毎日の生活で傷がついたり、剥がれが生じたりする箇所が出てきたら、早めにメンテナンスを行うことが重要です。

窓や玄関ドアの交換

玄関ドアは劣化のスピードはそれほど早くありませんが、30年ほど経過すると建て付けの不具合が生じることがあります。色褪せや見栄えの問題もあるため、30年程度を目安に交換を検討しましょう。

窓も同様に、30年程度を目安に交換を検討しましょう。長年使用していると窓サッシに歪みが生じることがあり、窓が動かなくなると日常生活に不便を感じることになります。必要に応じて交換を行いましょう。

長寿命住宅を保つための日常管理

住宅を長持ちさせるための最も効果的な方法は、日常的な掃除と適切な換気です。ゴミを処理し、埃を落とし、水気を拭き取ることで、サビ・カビ・腐食・頑固な汚れの発生を防ぐことができます。特に湿気はカビの発生原因となり、健康にも悪影響を及ぼします。水回りの清掃は住宅の寿命を延ばすだけでなく、日々の生活を快適に保つためにも重要です。排水管の詰まりや腐食も、こまめな掃除で予防することが可能です。

日本は高温多湿な気候で、住宅にカビが生えやすい環境です。湿気により押し入れや、狭く空気の通りが悪い場所にカビが生えやすいため、定期的な清掃とこまめな換気が非常に重要です。日常的に掃除をしていると、トラブルが発生した際にも早期に気づくことができ、「大きなトラブルになるまで気づかなかった」という事態を防ぐことができます。

また、住宅を長持ちさせるためには、頑丈な家を建てることも大切です。施工業者の技術が低かったり、質の悪い建材を使用していたりすると、どれだけ丁寧にメンテナンスを行っても住宅は長持ちしません。基礎の質が高いとリフォームもしやすくなります。そのため、施工業者を選ぶ際には、価格だけでなく住宅性能や保証の充実度を重視することが重要です。

ここでさらに重要なのは、日常メンテナンスとアフターメンテナンスを組み合わせることです。日常的なメンテナンスを行うことで小さな問題を早期に発見し、アフターメンテナンスによる専門的なチェックと修繕を定期的に行うことで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。この二つのメンテナンスを組み合わせることにより、住宅の寿命を大幅に延ばすことができ、快適な住環境を長く維持することが可能になります。

長く安心して住み続けるために、定期的なメンテナンスと高品質な施工を心がけましょう。

まとめ

戸建て住宅を所有する場合、定期的なメンテナンスを行うことで家の寿命を大幅に延ばすことができます。一戸建て住宅は、約10年周期でさまざまなメンテナンスが必要です。適切なメンテナンスを行うことで、修繕費用を最小限に抑え、快適な住空間を維持することが可能です。

しかし、大規模なメンテナンスには費用がかかります。日頃から修繕費用を積み立て、計画的に準備しておくことが重要です。小さな問題を早期に発見し対処することで、大きなトラブルを未然に防ぎ、家の資産価値も維持できます。

さらに、日常的なメンテナンスとアフターメンテナンスを組み合わせることが、最も効果的です。日常的な掃除や点検を行い、小さな問題を早期に発見することで、アフターメンテナンスによる専門的なチェックと修繕が効果を発揮し、住まいの寿命を大幅に延ばすことができます。

ハウスメーカーでは、それぞれの住宅性能に合わせたアフターメンテナンスのプランを提供しています。アフターメンテナンスは大切なマイホームの資産価値を維持し、快適な住環境を保つために非常に重要です。ハウスメーカーの担当者に気軽に相談してみてください。適切なプランを選ぶことで、長く安心して暮らせる住まいを実現できます。

この記事を書いた人

平井 祐佳里
平井 祐佳里 宅地建物取引士
大学在学中より不動産の道に進み、建売会社にて用地仕入れを担当。結婚・育児を経験した後にハウスメーカーの不動産課に勤務し家族を持つ人々のニーズを深く理解し、顧客に寄り添った不動産サービスを提供。本格的な宅地開発を学ぶため、宅地開発専門の不動産会社に従事後、地域に根付いた土地活用の提案をするため総合不動産会社にて現在勤務中。

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平井 祐佳里
平井 祐佳里 宅地建物取引士
大学在学中より不動産の道に進み、建売会社にて用地仕入れを担当。結婚・育児を経験した後にハウスメーカーの不動産課に勤務し家族を持つ人々のニーズを深く理解し、顧客に寄り添った不動産サービスを提供。本格的な宅地開発を学ぶため、宅地開発専門の不動産会社に従事後、地域に根付いた土地活用の提案をするため総合不動産会社にて現在勤務中。