夏の暮らし、ちょっと一息ついたこのタイミングで
お盆が過ぎ、猛暑のピークもようやく一段落。お子さんの夏休みも終盤に入り、少しずつ日常モードに戻る準備を始めているご家庭も多いのではないでしょうか。
でも、ふと家の中を見回してみると――玄関には海水浴帰りの砂のついたサンダル、リビングの片隅にはレジャーグッズ、子ども部屋には自由研究の名残とお土産の山。キッチンには冷たい麺類用の大皿が出しっぱなし、洗面所は汗拭きシートや虫刺され薬でごちゃごちゃ……。
「夏の思い出」はたっぷりなのに、「夏の片付け」は後回し。そんなご家庭も少なくないはずです。
そこで今回のテーマは、「夏の片付け、どこから始めたらいいの?」というお悩みに寄り添いながら、“収納のしくみ”そのものを見直すヒントをたっぷりとお届けします。
片付けは、単なる“物の移動”ではありません。家族の動線や季節の変化、そして暮らし方のクセを見直すチャンスでもあるのです。夏の終わり、ほんの少しだけ生活をととのえる時間を持ってみませんか?
「夏用品」の片付けは“しまい方”より“出し方”から考える
しまう前に「次の夏」を想像してみる
ビーチサンダル、麦わら帽子、アウトドアチェア、プールバッグ……。夏ならではのアイテムは、意外と収納スペースを圧迫しますよね。
だからといって、とりあえず物置や押し入れの奥に詰め込んでしまうと、来年の夏には「あれどこにしまったっけ?」と探す羽目に。そんな“収納迷子”を防ぐためには、「次の夏、どうやって取り出したいか」から逆算するのがコツです。
たとえば、レジャーシートや日焼け止め、クーラーバッグなど“お出かけセット”にするものは、ボックスごとにまとめてラベリング。玄関横や納戸の“ワンアクションで出せる位置”に置くと、来年の夏もスムーズにスタートできます。
「普段使い」と「季節限定」の線引きをあいまいにしない
麦茶ポットやアイスクリームメーカーなど、夏は使用頻度が高いけれど、秋冬はあまり出番のないキッチン用品もありますね。こうしたアイテムは、“夏だけの定位置”を用意することで、季節ごとの家事効率がぐっと変わってきます。
「普段使い」の収納棚に無理やり詰め込むのではなく、“シーズンボックス”としてまとめてしまうスペースを作るのが正解。プラスチックの半透明ボックスに「夏用キッチン道具」と書いて、パントリーや吊戸棚に一括収納。視界から消えると、キッチンも気持ちもすっきりします。
“とりあえず置き”の温床、リビングのごちゃごちゃ解消法
「あとで片付けよう」が積み重なる場所
夏休み中、家族が集まる時間が長かったリビング。気づけばテーブルの上に読みかけの本、冷房対策のブランケット、子どもの作品やお土産の袋など、“ちょい置き”の山ができていませんか?
この“とりあえず置き”のクセを根本から見直すには、「仮の置き場」を作らないことが大切。とくにリビングは、目につく場所に“置ける場所”があると、つい置いてしまいます。
「一時置き場」より「定位置」をつくる
おすすめは、家族ごとの“マイボックス”を作ること。たとえばリビングの一角にスチールラックを置き、上段に大人用、中段に子ども用のボックスを用意。それぞれに名前や写真をつけて「とりあえずはここへ」ではなく、「ここに戻す」が定着するよう仕組み化します。
あわせて、「作品・おみやげ・思い出の品」は、“今季分だけ”の保管ルールを設定すると◎。時間がたてば「もう処分していいかな」と自然に思えることもあるので、最初から“期限付きで残す”という考え方にしておくと、整理がラクになりますよ。
洗面所・脱衣所こそ“季節切り替え”のスタート地点
夏アイテムが増えた洗面所、見直しどきは今
汗拭きシート、虫刺され薬、日焼け止め、冷感ミストなど、夏の洗面所はどうしてもアイテムが増えがち。引き出しの中も、ついでに買ったグッズであふれていませんか?
まずは「夏だけアイテム」をすべて集めて見渡すことから。使用期限切れのスプレー、固まりかけのシートなどが出てきたら、思い切って処分。残すものは「来年用」としてジッパーバッグにまとめ、ラベリングして保管を。
季節の入れ替え棚をつくる
理想は、「シーズンごとのコスメ・衛生グッズ棚」を作ること。洗面下収納や吊り棚に“夏”“冬”でボックスを分けて、衣替えのタイミングで入れ替えるイメージです。
この方法なら、冬になってから「冷感スプレーが出てきた!」と驚くこともありません。シーズンオフにしたアイテムを1年後にすぐ再活用できる“備えの収納”になります。
クローゼットの「詰め込み収納」から卒業するチャンス
秋冬服を迎えるためのスペースづくり
クローゼットもまた、夏の片付けと秋の準備が交差する場所です。Tシャツやリネンワンピースをたたんで、徐々にカーディガンや秋色のブラウスへと入れ替えていく――そんなタイミングこそ、「収納のしくみ」を見直す好機。
まずは、「今シーズン着たかどうか」をチェック。一度も着ていない服は、次の夏もきっと出番がありません。“衣類は収納スペースの7割がベスト”という原則を思い出し、空気が通るゆとりを保ちましょう。
“季節の区切り”で見える服のクセ
クローゼットの中身を見直すと、自分の“服のクセ”が浮かび上がります。
たとえば、「白いシャツが5枚あるのに、いつも同じ1枚ばかり着ている」ことに気づいたり、「去年着ていたワンピース、今年はちょっと気分じゃない」と思ったり。そうした“心の変化”を見つめる時間が、収納の見直しを深めてくれるのです。
収納は“分け方”より“戻し方”で決まる
整理整頓は「ラスト1分」の積み重ね
収納のテクニック本には、「用途ごとに分ける」「使用頻度で場所を決める」など、さまざまな方法が紹介されています。でも実は、一番大切なのは“戻しやすさ”。
「戻すのがめんどう」=「片付けが続かない」原因です。だから、「片手で開けて・戻せる」かどうかを基準に、収納を見直してみてください。
“家族の戻しやすさ”にも着目してみる
片付けが苦手な家族がいる場合は、「しまいやすい場所にしまってもらう」を目指すのがコツ。
たとえば、小学生の子どもには「教科書の高さに合わせた棚」、背の低い家族には「かがまず届く位置のボックス」。こうした“使う人に合わせた高さ・開け方”にすることで、片付けのハードルがぐんと下がります。
展示場やモデルハウスで「収納の未来予想図」を探してみる
収納を見直していると、「そもそも家のつくりに無理があるのかも…」と思う瞬間ってありますよね。そんなときは、住宅展示場を“収納アイデアの見本市”として歩くのがおすすめ。
最近は、家事動線やファミリークローク、ランドリールームなど、“収納設計”に力を入れたモデルハウスも多数登場しています。
チェックポイントは「入り口の数」と「棚の高さ」
見学の際は、次の点を意識してみてください。
見る場所 | 視点 | 収納に活かすヒント |
---|---|---|
玄関横クローク | 家族と来客の動線の分離 | 靴や上着を隠す“生活感カット” |
洗面所の奥行き | 洗濯動線と収納の関係 | 洗剤やタオルのストックしやすさ |
キッチン背面収納 | 開き戸?引き出し?高さは? | よく使う物が「目線〜腰下」にあるか |
ファミリークローゼット | 家族で使う?個別収納? | 使用頻度に合わせたゾーン分け |
スマホのメモ機能や写真を活用しながら、自宅で実践できる収納改善のヒントを持ち帰ってみてください。
まとめ:片付けとは、“暮らしをととのえるリセット習慣”
夏の片付けは、ただモノをしまうだけではありません。暮らしを「いったんリセットする」ことで、家の空気をすっきり入れ替え、家族みんなが気持ちよく秋を迎える準備になります。
今回ご紹介したように、
- 夏アイテムは“来年出しやすく”まとめてしまう
- リビングは“家族ごとの戻し場所”でごちゃつきを防ぐ
- 洗面所・クローゼットは“季節の棚”を作る
- 収納は“戻しやすさ”を優先する
- 展示場見学で“収納のヒント”をもらう
そんなちょっとした見直しが、毎日の家事と気持ちにゆとりを与えてくれます。
9月になる前のこの時期。夏の名残を整理しながら、すこし先の暮らしをイメージして、季節のリセットを、自分のペースで始めてみませんか?