注文住宅の新築計画において、コンセントの位置決めは何となくイメージで進めてしまいがちです。その結果、自宅が完成してから「こんなところに欲しかった!」「ここにはいらなかったかも」と悔やむケースも少なくありません。
今回は、コンセント計画におけるありがちな失敗事例や部屋別のおすすめ設置位置、後悔しないための計画ポイントについて解説します。
コンセント計画で多い失敗例
コンセントは一度設置すると後から変更が難しく、生活の快適さを大きく左右する重要なポイントです。コンセント計画でよくある失敗例をご紹介します。
欲しい場所にコンセントがなかった
コンセント計画の際に、動線や生活スタイルをイメージしないまま何となくコンセント位置を決めてしまうと、いざ入居後に生活し始めた時、欲しい場所にコンセントがなくて困るというケースはよく見られる失敗例です。電化製品やPC機器、スマホなどを使う際に不便だったり、遠くのコンセントを仕方なく使うことになって効率が落ちたりすることになりかねません。
コンセントの数が足りなかった
「とりあえず2つあれば大丈夫」などとコンセントの数を適当に決めた結果、コンセントが足りず延長コードを使ったりタコ足配線をしてしまったりする事態になるケースも多く見られます。特に、使用する電化製品が多いキッチンやリビングでは、コンセントの数が不足することが多いです。
コンセントの位置が適切ではなかった
コンセントは足りていても位置が使いづらかったという場合も少なくありません。たとえば、対面キッチンの正面腰壁部分にコンセントを設置したものの、実際にハンドミキサーなどを使ってみるとコードが調理スペースの邪魔になって、結局使わなくなってしまったといったケースです。計画段階で、使用時のシミュレーションをしっかりしておくことが大切です。
部屋別・おすすめのコンセント位置
コンセントの必要数は、家族構成や電化製品等の所有数、ライフスタイルなどによって異なるため、正解はありません。一方、コンセントの設置位置は、入居後にそれぞれの部屋でどのような動きをするのかを想定しておくと、使いやすく快適です。
部屋別におすすめのコンセント位置をご紹介します。
キッチン
キッチンは、広さとキッチン本体のレイアウトが決まれば、冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器、トースターなどの電化製品を置く位置も自然と決まるため比較的配置を固めやすいです。冷蔵庫専用コンセントをはじめ、電化製品を置くカウンター周辺に十分な数のコンセントを配置しましょう。ウォーターサーバーや生ごみ乾燥機を置く場合は、そのスペースの近くに設置します。
調理作業をする場ですから、使いやすい高さにも注意しましょう。調理スペースで調理家電を使う頻度が多い場合は、キッチン本体にオプションでコンセントを追加しておくと便利です。
リビングダイニング
テレビや空気清浄機、スマホの充電器など、多様な機器を使用するリビングダイニングでは、家具を置く可能性が高い壁面に必ずコンセントを設置しておきましょう。年数が経って模様替えする際に、レイアウトが制限されずに済みます。対面キッチンのダイニング側の腰壁や、ダイニングテーブル周辺の床面にコンセントを設置しておくと、ホットプレートなどを食卓で使いやすいです。
洗面室
ドライヤーや電動歯ブラシ、シェーバーなどを接続して使う機会が多い洗面室では、洗面台にセットされているコンセント以外に、サイドの壁面にもコンセントを配置しておくと重宝します。水はねを考慮した高さに設置するとよいでしょう。
個室(寝室、子ども部屋)
スマホの充電やスタンドライト用として、ベッドの両サイドやデスクまわりなどで使える位置にコンセントを設置しておきます。パソコンや楽器、スピーカーなど個人の趣味関係のアイテムが使いやすいよう、位置だけでなく高さもこだわって計画すると入居後の使用感も満足できるものになるでしょう。
玄関や廊下
居室のようにコンセントは使わないと考えがちですが、玄関や廊下にもコンセントを設置しておくと非常に便利です。掃除機やコンセント用のフットライを使いたい場合に重宝するほか、湿気が多い梅雨時などに除湿機を稼働させたい際にも役立ちます。
収納スペース
ウォークインクローゼットやパントリー、シューズクローゼットといった収納スペースの内部にも、掃除機の充電用や除湿器用としてコンセントを設置しておきましょう。床面に近い位置よりも、腰高あたりの位置に設置しておくと腰をかがめる必要がなく使いやすいです。
「しまった!」を防ぐコンセント計画のポイント
入居後にコンセントの使いづらさに気づいても、位置変更や増設はそう簡単にはできません。後悔のないコンセント計画を実現するために、押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
先に家具の配置を想定しておく
ソファやベッド、デスクなど大型家具の配置は、間取り計画の段階であらかじめ大まかにでも決めておきましょう。「ベッドの裏にコンセントが隠れてしまって使えない」といった事態を避けられます。
屋外の配線計画も忘れない
高圧洗浄機やアウトドアライト、防犯カメラなど、実は屋外でも電源が必要な機器は多いです。最近は電気自動車も普及してきつつあるため、EV充電器用のコンセント設置も場合によっては検討しましょう。玄関ポーチや家の外壁まわり、駐車場まわりを中心に計画してみてください。
高さにこだわろう
一般的なコンセントは、床面からコンセントプレートの中心まで約15~25cmの高さに設置します。しかし、ダイニングテーブルの上で電化製品を使う場合や、掃除機など使用頻度が高い電化製品を使う場合には低すぎると感じる方も多いようです。こうしたケースでは、床面から75cm前後の高さにコンセントを設置することも検討してみましょう。使い勝手が格段に上がります。
まとめ
コンセント計画は、日々の暮らしを快適に送るためにも、十分な時間をかけて検討したい作業です。動線や家具などの配置を踏まえて、入居後の満足度をアップさせましょう。