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日当たりを重視した新築プランとは?採光を最大限引き出す設計ポイント

日当たりを重視した新築プランとは?採光を最大限引き出す設計ポイント

新築住宅を計画するうえで、日当たりの良さを重視する方は多いのではないでしょうか。

しかし、方角や敷地条件だけでは十分な採光を確保できないこともあります。特に狭小地や旗竿地では、間取りや窓の配置に工夫が必要です。「日中でも照明が必要な家にはしたくない」と考える方にとって、事前の知識と準備は欠かせません。

そこでこの記事では、日当たりを活かすための基本的な考え方と、設計上の具体的な工夫について解説します。これから新築を検討する方は、ぜひ参考にしてください。

日当たりの良い新築を建てるために知っておきたい基本

ここでは、家の方角ごとの特徴とあわせて、日当たりの良い家がもたらすメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

「南向き=正解」とは限らない!方角ごとの特徴と選び方

日当たりの良さは、方角だけで決まるものではありません。各方角の特性を理解し、ライフスタイルや土地条件に合わせて適切に使い分けることが大切です。

下表に、主な方角の特徴と、それぞれに適した部屋の例をまとめました。

方角 特徴 向いている部屋
南向き ・1日を通して光が入る
・夏は暑くなりやすい
LDK・子ども部屋
東向き ・朝の光が入る
・午後は暗くなる
寝室・キッチン
西向き ・午後の光が強い
・夏は西日が厳しい
洗面所・風呂
北向き ・1日を通してやわらかい明るさ
・冬は寒くなりやすい
書斎・収納

このように、それぞれの方角には異なる特性があるため、「南向きだから安心」とは限りません。

たとえば、南向きでも隣家の影になる位置では、期待したほどの採光が得られない場合があります。反対に、北向きであっても吹き抜けや高窓を活用すれば、明るさを確保できるケースもあります。

方角の特徴を踏まえたうえで、部屋の用途や家族の生活リズムに応じた配置を計画することが重要です。

日当たりの良い家のメリットとデメリットを正しく理解しよう

日当たりの良さは、室内を快適に保つうえで大きなポイントになります。ただし、設計によってはかえって不快さの原因になることもあるため、注意が必要です。

下表で、日当たりの良い家の主なメリットとデメリットを整理しました。

メリット デメリット
・昼間の照明が不要で省エネになる
・室内が暖かく冬でも快適
・カビや結露が発生しにくい
・夏場は室温が上がり冷房費が増える
・紫外線で床や家具が色あせやすい
・西日は強く、まぶしさや暑さの原因に

日当たりの良さには省エネ性や衛生面での利点がありますが、対策を怠ると暑さやまぶしさが快適性を損なう原因にもなります。

設計段階から間取りや採光を工夫することで、快適さと機能性を両立させることが可能です。

日当たりを最大限に活かす新築設計の工夫3選

ここでは、日当たりの良さを十分に取り入れるために、新築設計で意識したい3つの具体的な工夫を解説します。

採光を考慮した間取り配置にする

採光を取り入れるには、日当たりの良い方角にLDKや子ども部屋など、長く過ごす部屋を配置することが効果的です。

たとえば、朝日が入る東側にキッチン、日中に光が差し込む南側にリビングを設けることで、自然光を効率よく活かせます。

なお、洗面所や浴室などの水回りは日当たりをそれほど必要としないため、北側など比較的日射条件が劣る場所に配置することで、空間の有効活用につながります。

間取りに採光をうまく取り入れることで、快適性が向上し、照明に頼らない省エネな暮らしが実現します。

吹き抜けや高窓で上からの光を取り入れる

建物の中央部や北側の部屋など、日当たりが確保しにくい場所でも、吹き抜けや高窓を設けることで上部から自然光を取り入れられます。

特に2階建て住宅では、南側に設置した高窓から1階の奥まで光を届けられる構造が効果的です。天井付近から採光することで、視線を遮らずに空間全体を明るく保てる点も大きな利点です。

隣家の影を避ける建物配置にする

隣接する建物の影による影響を防ぐには、次のような点を工夫することが重要です。

・建物の配置
・建物の高さ
・窓の位置

たとえば、南側に庭や駐車場などの空地を設けたり、リビングを2階に配置したりすることで、日差しを取り込みやすくなります。

また、隣地との距離や、地域ごとに決められた建築ルール(※建築協定など)を事前に確認しておくことで、将来的な日照トラブルを防ぐことにもつながります。

※建築協定・・・地域で定めた建物ルールを行政が認可し、住民全体で守る制度

参照:国土交通省|建築協定

狭小地・旗竿地でも明るさを確保する2つの方法

狭小地や旗竿地は、日当たりの確保が難しいと思われがちですが、設計の工夫によって室内を明るく保つことは可能です。ここでは、限られた敷地条件でも採光を確保するための現実的な対策を2つ解説します。

2階リビングやスキップフロアを取り入れる

狭小地や旗竿地では、隣家の建物に囲まれて1階に十分な光が入りにくいケースが多くあります。こうした環境で採光を確保するには、2階リビングの導入が有効です。

2階は周囲の建物よりも高い位置にあるため、遮られにくく、日照を得やすくなります。また、道路からの視線が気になりにくくなるため、カーテンを開けて自然光を取り入れやすくなる点も利点です。
さらに、スキップフロアを取り入れることで、床の高さをずらしながら光の通り道をつくることができ、1階まで自然光を届ける工夫が可能です。

高さに変化のある空間は、視線の抜けや広がりも生まれ、限られた面積でも開放感のある間取りを実現できます。

光を反射しやすい外壁や内装材を選ぶ

建物の周囲に光を遮るものが多い場合でも、反射率の高い素材を使えば、室内の明るさを補うことができます。特に以下のような工夫が効果的です。

・外壁に明るい色(白・アイボリー・淡いグレーなど)を使う
・内装に白系や光沢感のある床や壁材を選ぶ
・外構に白砂利や明るいタイルなどの反射素材を取り入れる

たとえば、外壁を明るい色にすることで、周囲からの反射光が増え、室内にも自然光が入りやすくなります。
また、内装に白や光沢のある素材を使うと、わずかな光でも空間が明るく見えやすくなります。さらに、地面の反射を活かす外構づくりも有効です。

素材選びの工夫ひとつで、採光の印象は大きく変わります。

まとめ

日当たりの良い家づくりは、「南向き」にするだけでは実現できません。方角、間取り、窓の配置、高さ、素材選びまで、複数の工夫が必要です。

特に狭小地や旗竿地では、2階リビングや反射素材の活用など、柔軟な設計が求められます。最適な採光計画は暮らし方によって異なるため、自己判断せず、プロと相談しながら進めることが重要です。

実物を見て体感できる住宅展示場の活用は、後悔しない家づくりへの第一歩です。一度足を運び、理想の光の入り方を確認してみましょう。

この記事を書いた人

岩井 佑樹
岩井 佑樹 宅地建物取引士・シニアライフ相談士
飲料メーカーを経て2014年に宅建士として不動産会社に転職。2019年に不動産ライター業を始める。2024年3月現在、不動産会社のコラムや不動産関連記事を400記事以上作成。現在は不動産会社とWebライター業の会社を経営。現役不動産屋ならではの経験から、不動産に関する「リアル」な記事を発信している。

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岩井 佑樹
岩井 佑樹 宅地建物取引士・シニアライフ相談士
飲料メーカーを経て2014年に宅建士として不動産会社に転職。2019年に不動産ライター業を始める。2024年3月現在、不動産会社のコラムや不動産関連記事を400記事以上作成。現在は不動産会社とWebライター業の会社を経営。現役不動産屋ならではの経験から、不動産に関する「リアル」な記事を発信している。