都市部でマイホームを検討する際、狭小地に新築を建てるケースが増えています。
しかし、限られた敷地では高さ制限に悩むことも珍しくありません。「3階建てを希望していたのに建てられないかもしれない」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、狭小地における新築計画で押さえておきたい高さ制限の基本と、クリアするための具体策を解説します。狭小地で理想の住まいを実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
新築を計画する前に押さえておきたい狭小地と高さ制限の基本知識
狭小地に新築を建てる際は、まず「敷地の特徴」と「高さ制限」について理解しておくことが大切です。ここで詳しく解説します。
狭小地は10~20坪前後の限られた敷地を指す
狭小地は都市部に多く見られ、土地価格を抑えられるため、マイホームを手に入れたい方にとって有力な選択肢となります。さらに、固定資産税や都市計画税などの税負担が軽減できる点もメリットです。
ただし、限られた面積を有効に活用するためには、設計段階で工夫を凝らす必要があります。
高さ制限とは建物の高さに上限を設けるルール
高さ制限とは、周囲の住環境を守るために建物の高さに上限を設けるルールです。狭小地で新築を計画する際には、特に次の4つの規制を理解しておくことが重要です。
- 絶対高さ制限:用途地域ごとに、建物の高さを10mまたは12m以内に制限する規制
- 北側斜線制限:主に住宅地で、隣地の北側に配慮して高さを制限する規制
- 道路斜線制限:道路に面した部分から一定の角度以内で建築を求める規制
- 日影規制:冬至日に一定時間以上、隣地へ日陰を落とさないようにする制限
たとえば、絶対高さ制限に合わせて建物の総高さを調整したり、道路や北側隣地に配慮した形状にしたりすることで、法律違反を防ぎつつ、最大限の空間を確保できます。
参照:国土交通省|建築基準法(集団規定)|建築物の高さの制限|P55
狭小地に新築を建てるなら知っておきたい高さ制限クリアの3ステップ
狭小地に新築を建てる際には、高さ制限をクリアするための具体的な3つの手順を押さえておくことが大切です。ここでは、その進め方について詳しく解説します。
土地の用途地域と斜線制限を確認する
狭小地に新築を建てる際は、まず用途地域と斜線制限を確認することが重要です。用途地域によって、建てられる建物の高さや規模に明確な制限が設けられているためです。
下の図は、国土交通省が公表している用途地域の一覧です。
引用:国土交通省|用途地域
さらに、道路斜線制限や隣地斜線制限も併せて確認する必要があります。たとえば、第一種低層住居専用地域では、建物の高さが10m以下に制限されるケースがあります。
購入前には必ず役所で都市計画図を取得し、各種制限を正確に把握しておくことが、後悔しない土地選びへの第一歩となります。
建築士に相談して法的な制限に対応できるか確認する
高さ制限に対応するためには、ハウスメーカーと提携している建築士への相談が欠かせません。土地ごとの制限を正確に把握し、希望するプランが実現可能かを事前に検討できるためです。
たとえば、敷地の形状や周囲の建物の配置によって、同じ用途地域内でも建てられる高さが異なる場合があります。
提携している建築士であれば、法規制への対応だけでなく、ハウスメーカーの施工条件を踏まえた設計上の工夫も提案できます。
設計段階で高さを抑える工夫を取り入れる
狭小地に新築を建てる際は、設計段階から高さを抑える工夫を取り入れましょう。高さ制限を意識してプランを進めることで、制限内に収めつつ、快適な住空間を確保できます。
たとえば、次のような工夫がおすすめです。
- 天井高を調整して圧迫感を軽減する
- スキップフロアを採用して視線に変化をつける
- 屋根形状を工夫して高さを抑えつつ採光を確保する
初期段階で工夫を盛り込んでおけば、後から設計変更が必要になるリスクを抑え、スムーズな家づくりを実現できます。
狭小地で高さ制限を超えずに新築3階建てを実現する3つの方法
狭小地に新築で3階建てを建てるためには、高さ制限をクリアする工夫が欠かせません。ここでは、制限を守りながら理想の住まいを実現するための3つの具体的な方法を解説します。
吹き抜けやスキップフロアで空間を有効活用する
高さ制限がある狭小地では、吹き抜けやスキップフロアを取り入れることで空間を有効に活用できます。
たとえば、リビングに吹き抜けを設ければ、縦方向に視線が抜け、実際以上の広がりを感じることが可能です。限られた高さの中でも、開放感を確保する設計が狭小住宅の満足度を大きく高めます。
地下室やロフトの活用で実質的な居住空間を増やす
狭小地で高さ制限をクリアしながら広さを確保するには、地下室やロフトの活用が有効です。
地下室は地面下に設けるため高さに含まれず、収納や趣味スペースとして活用できます。ロフトも天井高を抑えれば、延床面積に算入されず有効に使える場合があるため、おすすめです。
高さ制限の特例や緩和措置を検討する
制限内で収まらない場合は、高さ制限の特例や緩和措置を検討する方法もあります。具体的には、次のような制度があります。
- 道路幅員に応じた斜線制限の緩和
- セットバックによる高さ確保
たとえば、道路幅が広い場合は斜線規制が緩和される可能性があり、設計の自由度が高まります。また、敷地を後退(セットバック)させることで建物の高さ制限が緩和される場合もあります。
行政への事前相談が必要ですが、制度を正しく活用すれば狭小地でも希望に近いプランを実現できる場合があります。
まとめ|狭小地でも快適な住まいは実現できる!
狭小地でも、工夫と事前準備さえ整えれば、想像以上に快適な住まいを実現できます。購入前に用途地域や高さ制限を確認し、限られた条件を活かす設計を考えることが大切です。
吹き抜けや地下室の工夫、高さ制限の緩和制度を知ることで、理想の暮らしに近づきます。狭小住宅に強い施工会社の力を借りながら、自分たちに合ったプランを練り上げましょう。
まずは住宅展示場で実物に触れ、住まいづくりの一歩を踏み出してみてください。